深夜のタコ公園

二十歳ごろ、大学の夏休みで帰省中に地元の友人と飲みに行った。その帰りに結構な夜だったんだけど、家の近くの大きい公園の中にある通称タコ公園で駄弁っていた。明かりは電灯と自販機のみ、真っ暗な中にタコと海賊船の遊具があった。

何を喋っていたのかは覚えていないが、僕がいきなり「俺達は特殊部隊だ、あの海賊船を占領する」と友人に言って二人で公園の砂の上で匍匐前進を始めて銃を持ったふりをして海賊船の遊具へ前進した。

今思えばとても二十歳が取る行動ではないとはわかるんだけど、全然今でも同じことすると思う。

「頭下げろ撃たれるぞ!」とか馬鹿なこと言って海賊船の遊具の前に来た。
入口があるんだけど、真夜中で真っ暗で、遊具の中には電球なんてないし一寸先が文字通り闇だった。

「俺達は今からここに突入する!」
と言っていたときだった。闇に包まれた真っ暗な入口から
「ふふふふふ」
と笑い声が聞こえた。

その瞬間、僕も友人も血の気が引いて、叫ぶとかじゃない、無言で一瞬顔を見合わせて、自販機の明かりの元へダッシュした。

自販機の前に着いたあとに
「今の聞こえた?」「笑い声」「人いたってこと?」「ずっといたってこと?」「けど自転車もないし誰も人来た気配なかったぞ」

二人とも何なんだ今のはってなって、そのまま帰路についた。

今思えばあれなんだったんだろう。