受験が終わったあとのカラオケ

受験が終わって大学までの短い開放期間に、同級生の友人と後輩の女の子2人で天王寺のカラオケに行ったのを覚えている。

その後輩の女子の1人とは学校の文化祭で知り合った。

通信制高校では珍しいのかな、ちゃんと文化祭やイベントごとがあって、そこでその子はメイドのコスプレをしていた。
僕が「可愛いね」って声をかけたのをきっかけに仲良くなった。

その子に受験が終わったからカラオケに行こうって誘ったものの、先輩と後輩の関係だったのもあり、共通の知り合いなんてほぼいなかった。
だからお互いの親友を1人ずつ連れて行くかんじになった。

僕とその後輩の女の子は知り合い同士でも、残りの2人は初対面。
当然のようにカラオケの中はぎこちない空気になって、すぐに後悔したのを覚えている。

僕は究極に音痴だし、こういう時の盛り上げ方の術は今でも持ち合わせてない。

誘ったのが僕だったから、その空気が申し訳なくなり割と始まってすぐに
「なんかごめんね」
って言ってしまった。

そしたらその後輩の女の子に
「まだ終わってないのに何で反省会してるんですか先輩」
って言われた。

僕の中での彼女のイメージは、優しく穏やかで、「終わってないのに何で反省会してるんですか」なんて核心を突くような発言をするような人ではなかったので、そう言われた瞬間、背筋が自然とまっすぐになったのを覚えている。

その後に僕がアニメのらんまが好きだったのを覚えていてくれたみたいで、その子がらんまのOPのじゃじゃ馬にさせないでを歌ってくれた。自分が恥ずかしくなるくらい上手だった。

僕の友人は曲の歌詞を無理矢理変えて変にボケて歌ったりして、それが面白くってみんなで笑った。
結果的には会は大盛り上がりして、あっという間に夜になって、もうすぐ春でもまだ寒い天王寺を後にした。

「まだ終わってないのに何で反省会してるんですか先輩」
帰り道の御堂筋線でこの言葉を何回も思い出した。
自分の悪いところを突いてくれた一言だった。

だから今でもまだ終わってないのに1人で反省会を始めたら、1歳年下の17歳の女の子に心の中で怒られる時がある。

「まだ終わってないのに何で反省会してるんですか先輩」