インドネシアからの留学生

高校2年生のころ、大阪の難波ら辺にあるコンビニでバイトをしていた。
難波と言っても大きい道路から外れた細い道にあるような場所で、治安は大阪トップレベルに黒い場所だった。

クリスマスに入れ墨入っている人に怒鳴られたり、お釣り返したら小指なかったり、ヤク中が店内でブツブツ言いながら寝てたり、連続強盗の犯人がさっきまで店内にいたから防犯カメラを見せてほしいと警察がやってきたり、いろいろ濃い思い出が詰まっている場所だった。

そこに二十歳くらいのインドネシアからの留学生の女性がいた。
あまりにも日本語が流暢だから、名札の名前がカタカナだと気づくまで外国の方だとは気づかなかった。

生まれはインドネシアだけど育ちは日本のパターンなのかなと思ったけど日本にやってきたのは1年半前だと言っていた。

なのに日本語が流暢すぎてびっくりした。

インドネシア語と日本語、2か国語を自由に話せる姿がかっこよかった。

僕がバイトを始めてしばらく経ったころだった。
そのインドネシアからの留学生の人が白人のお客さんと会話をしている。どうやら英語だった。

日本語だけでなく英語も話せることに衝撃を受けた。

「日本人ってなんで英語をネイティブっぽく発音すると笑うんですか? インドネシアではネイティブっぽく発音できない方が笑われるのに」って言っていて格が違うように思えた。根っこが違うんだなと感じた。

しばらく経った時に、次は中国人のお客さんに中国語で話しかけられていた。するとその方は中国語で回答していた。

どこまですごいんだろう、この人は。

僕は大学に進学するなんて考えてなかったけど、その人の姿を見て、自分がとても小さく感じて大学に行こうって決意した。
大学に行って少しでもなにか学んでいこうって思わされた人だった。