幼少期から夏休みになると父の地元に家族で帰省していた。
おばあちゃん家から歩いていける距離にひいおばあちゃんの家があって、その家には白黒の神社の写真が飾ってあった。
小さいころは何も気にしていなかった写真だけど、高校生あたりでそれは靖国神社の写真だと気付いた。
父から聞いた話では、ひいおじいちゃんは戦時中に赤紙が来て南方戦線へ出兵したらしい。
ひいおじいちゃんの地域からは3人が同じ戦場へ行って、ひいおじいちゃん以外の2人は帰ってきて、その内の1人が戦場でひいおじいちゃんを見たと言ったらしい。
腰にぶら下げていた水筒に穴が空いて死んでいたのを見たと。
だからひいおばあちゃんの家には白黒の靖国神社の写真が飾られている。会ったことも見たことも名前も知らないひいおじいちゃんは靖国神社で眠っているらしい。
高校卒業後は大学に通うために上京した。学校に通い始めてから知ったのが、大学の細い道路を挟んだ真横に靖国神社があるということ。
大学1年生の春あたりに、学校の昼休み中に初めて靖国神社を訪れた。
ひいおばあちゃんの家で白黒で見ていた神社が色付きで広がっていた。
その時ふと思った。
ひいおじいちゃんはここで眠っているのか、会ったこともないけど、俺ひ孫だよ、横の大学で東京で大学生してんだよ。
そう思えた時、なんか不思議な気持ちになったのを覚えている。
靖国神社の中には遊就館っていう博物館があって、そのエントランスにある零戦があまりにも美しいから、一目見ただけでレプリカと思い込みちゃんと見ていなかった。
大学3年か4年になってから、あの零戦はレプリカではなく本物だという事実を知った。
また東京に行った時は靖国神社と遊就館に立ち寄りたい。あと江戸東京博物館にも行きたい。いつまで工事してんだっけ。
最後江戸東京博物館に行ったのはちょうどコロナ禍で閉館している時だっけ、行ってから閉館しているって気づいたのだけ覚えている。またいつかちゃんと思い出そう。