最古のガンダムの記憶

父親がファーストガンダム世代(みんな知ってる白いガンダム)で、2、3歳ごろの僕は父親の横でガンダムのビデオをよく一緒に見ていた。

それが一番古い僕のガンダムの記憶。

ストーリーや登場人物や設定なんて何も理解せず、ただガンダムがかっこいいから一緒に見ていた。
小さい頃の僕のガンダムのイメージはどんな敵もやっつけるかっこいいヒーローだった。

でも物語の最後ら辺で、ガンダムは頭を吹っ飛ばされ、腕もなくなりボロボロになったところで、幼少期の僕はものすごく不快で嫌な気持ちになったのを覚えている。

無敵のヒーローがボロボロの姿になった。それが幼少期の僕には軽いトラウマだった。

軽いトラウマってのは、例えばだけど、近所に住んでいるカッコいいお兄ちゃんが不良にボコボコにされた姿を目撃したような感じで、そんな感じのトラウマだった。
自分の中のカッコいいヒーローが無惨な姿になっていく。

そのシーンを見るなり、僕は不機嫌になり、父親になんでガンダムがやられているのか文句を言ったような記憶もある。

それ以来、あの白いガンダムが嫌いになった。

小学生になってもファーストガンダムを目にすると
「どうせボロボロになって負けるんだろ」
そんな気持ちで白いガンダムに興味を持たないようになっていた。

大学卒業してからしばらく経った時に、ふとファーストガンダムを見てみよう、ずっと避けていたガンダムを見てみることにした。

肝心の最終話ら辺のガンダムがボロボロになるシーンを見て、幼少期ここら辺で嫌になったんだなとか思い出したりして、そこからラストシューティングでジオングを倒した姿を見て

「あのボロボロになった後、そこからガンダムは勝つんだ」

そう思った。(負けて終わりじゃないのはもう大人だから分かってはいたけど)

けど、どこかでスッキリした気持ちになったのを覚えている。

幼少期はボロボロになったガンダムを見た途端嫌いになったけど、そこからガンダムは勝ったのか、やっぱりヒーローだったんだなってそう思えた。